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作曲・編曲・ピアノ演奏

EASTWEST Hollywood Strings レビュー その1 概要(改)

      2016/05/08

僕がずっと愛用しているオーケストラ用のストリングス音源です。
3年前に旧ブログのほうでレビューしましたが、あれから音源がアップデートされたり、使い方も多少変わった部分もあるので、改めてのレビューです。

Hollywoodシリーズの第一弾として、EASTWESTから2010年にリリースされました。
ブラス、木管、パーカッションと順にリリースされ、2014年に全セクションが揃いましたが、ストリングスが一番力が入っている音源だなと感じます。
逆に言えば、特に木管とか、、もう少し頑張ってほしかった。。(笑)

Hollywood Stringsを使用したオーケストラ楽曲です。

今回は概要だけですが、今後の詳細ではこの曲での使い方を参考にしつつレビューしていきたいと思います。
 
 

Hollywood Stringsの魅力

表現力

ppからffまで最大5段階のダイナミクスレイヤーを持っているので、非常にリアルで表現力があります。
当時よく比較されていたLASSだとこれが4段階で、Viennaもおそらく3~4段階。
最近でもここまでのレイヤー数を持っている音源はなかなかないんじゃないかなと。

ビブラートも最大3段階のレイヤーがあり、ポジション毎(左手の位置の違い)のサンプルまでも用意してあるという徹底ぶり!

奏法の統一

QLSOでは例えばLongフォルダを見るとサステインだけでもたくさんの音色パッチが羅列されていて、何がなんだかすごく分かりづらいものでした。

160307_01

しかしHollywood Stringsではビブラートやフィンガーポジションがリアルタイムにコントロールできるようになったので、キャラクター毎のパッチというのはほぼ無くなり、分かりやすくなりました。

160307_02

まぁそれでもパッチ自体はたくさんあって、謎の数字とか略語とか初見だと意味が分からないですが。。(笑)
基本的にはレイヤー数やポジション変更の有無の違いのみとなっていて、使用するPCのスペックを考慮して対応できるようになっています。

Shortフォルダはスピッカートやスタッカートといった音価の短い奏法がまとまっていますが、例えばスタッカートだとニュアンスや音価の違いで3~4種類あります。

そしてShort系は"Short Tight"と"Short Loose"の2種類あり、Tightは文字通りきっちり揃ったサンプル、Looseだと遅めのテンポ用にほんの少しバラけた感じのサンプルで、それぞれ全く同じ奏法のパッチを用意。

奏法の統一というのは、1stバイオリン~コントラバスまで、これらがほぼ同じ内容になっていて分かりやすいという意味です。
QLSOではこれが全く統一されていなくて、各セクション毎にバラバラでしたからね。。

用途を選ばないドライなサウンド

マイクポジションは5つありますが、スタジオ収録なのでかなりドライです。
自由なミックスができるのがいいですね。
この音源を愛用している理由のひとつがこれです。

近年は残響感込みで各メーカー個性を出して売りにしているというのが主流っぽいですが、個人的にあまりウェットなオーケストラを書かないので重宝しています。
 
 

Hollywood Stringsの残念なところ

不自然なレガート

この音源を導入した当初は反応がめちゃくちゃ遅いから次のノートをかなり前に持ってこないといけなかったり、その反応の遅さも音によってマチマチという理由でとても使えたものではありませんでした。
PLAYのバージョンがアップするたびに改善されてきて、今ではだいぶマシになっています。
使えるか使えないかで言うと全然使えるレベルにはなったのデスガ。。

これ、他の音源でも言えることですが、レガートサンプルが浮いていて、いかにも"レガートしてますよ~!"というのが出すぎていてとても不自然なんですよね。
リアルにするためにレガートパッチを使っているはずなのに、本末転倒な感じがします。

その点で言うと、LASSはかなり優秀だと思います。
レガートしているのかしていないのか分かりづらいレベルですが、ポルタメントとかでない限りそのくらい控えてくれたほうが心地よく自然に聴こえます。

"使えない"パッチ

このあたりはさすが安定のEASTWESTさんといったところでしょうか。
ほんとに何を考えて(製品に)収録しているのか分からないパッチが多々あります。

例えば、順次進行する高速なパッセージに対応したRunパッチなんかは色々入ってるんですが、明らかに不自然でほとんどがまともに使えなかったり。
タイムストレッチに対応したトレモロやリピティションパッチがせっかく用意されてるのに、テンポに合わなくて全く使えなかったり。
これほんと音はすごく良いのにもったいないというか悲しい。。

重い

この音源が避けられる理由はこれが大きいと思います。
特にレガートが1つのパッチだけでメモリ1GB以上食ったりと抜きんでていますが、通常のパッチもやはり他の音源と比べるとメモリを食います。
個人的にも勿論もう少し軽ければ、、とは思いますが、なかなか代用が効かないクオリティなのでそこは気にしないようにしています。
 
 

その他の仕様

エフェクト音は未収録

QLSOでは収録されていた、ホラーでよく聞くような低い音から徐々に高い音に上がっていく音とか、スクラッチ音とか、所謂SE的なエフェクト音がありません。

ソルディーノはEQ処理

ソルディーノ(弱音器)の専用サンプルは無く、PLAYエンジン側のオンオフで切り替える仕様で、通常音をEQ加工したものになります。

310GB(Diamond)という膨大な容量でわかるように、これらエフェクトやソルディーノには手をかけずに、とにかく音に拘ったということが伺えますね。
 
 
次回から各項目毎に細かく掘り下げてレビューしていきます!

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